HE IS A PET.
んふふ、と含み笑いをするアズミンの、意味深な言葉に引っかかる。
「怜のために、って?」
「『二十歳になった日に、咲希さんに会いに行く。ガキのままじゃ会えない』っていう、あの子の決意。揺るがさないように、あたしがどんだけ気を遣ったか、分かるぅ?」
大袈裟なほど、疲れた声色を出すアズミンに
「ありがとうございました」
感謝は尽きない。
怜を拾ってくれたこと、助けてくれたこと、私たちを出逢わせてくれたこと。
怜と出逢って、もうすぐ一年が来る。
秋、冬、春、夏――そしてまた秋。
一年前には、こんな一年後が来るとは知る由もなかったように、未来のことは分からないけれど。
怜と手を繋いで、歩いて行きたい。
怜が迷うときも、落ちるときも、離さず握っていよう。
迷っても落ちても、歩き続ければいいよね?
歩けば、道は出来る。
~HE IS A PET.【完】~