HE IS A PET.


「そんな……つもりは、ないです」


 強い眼差しを受け、怜は居心地が悪そうに瞳を逸らした。

「じゃあ、いつもと同じように気分出して」


 怜はグラビアアイドルじゃない。あくまでも主役は衣装のはずだ。
 そこまで怜に演技力を求める必要はないんじゃないかと、素人の私は見ていて思った。

 懸命に表情を作ろうとすればするほど、戸田さんに駄目出しされる怜が可哀想に思えてきた。



「あのっ……」

 助け船を出そうと声を上げた私を、戸田さんが振り返った。

 私の存在を改めて思い出したらしい。まじまじと見る。
 静かに射るような瞳には、どこか逆らいがたい雰囲気がある。


「咲希さん、安住社長の代理ってことは、飼い主の代理もやってるの?」

「……まあ、そうですけど」

 怜がアズミンのペットだということは、戸田さんも知っているのか。
 まあアズミンのことだから、堂々とひけらかしてんだろうな。


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