HE IS A PET.



 明後日、アズミンが帰ってくる。
 飛行機のチケットを取り直せた最短日、且つ晴れそうな日。

 昨夜近畿から北に抜けた台風の勢力は弱まり、現在関東には暴風注意報が出ているだけだ。
 週間天気予報によると、明後日にはすっかり晴れているらしい。


「槍が降ってても、帰って来てよ」

 そう念押しすると、アズミンは、はーいと間の伸びた返事をした。


「ね、怜の撮影どうだった?」


「ああ、順調に終わったよ。真崎さん、アズミンに画像送るって言ってたけど。まだ見てない?」


「見た。エロい顔してて、ムラムラしちゃった。もしかして直哉、怜に手ぇ出した?」


「直哉って、戸田さんのこと?」


 告げ口していいものか、どうか。

「そう、戸田直哉。後でクレーム入れとくわ。仕事に私欲を持ち込むなって。あたしが誘っても全然乗ってこないくせに。あいつ、いい男でしょ。一回くらいどうにかなりたいわよねぇ」


「アズミン、それ思いっきり私欲じゃないの?」


「そうだけど、悪い?」


「いいんじゃない? アズミンだから仕方ないよ」


「それ悪口? 誉め言葉?」


「悪口」


アズミンと電話してる内に、事務所に着いた。


「ごめん、もう事務所着いたから。仕事するね」


「はーい。頑張ってぇ」



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