HE IS A PET.


 のろのろと起き上がった怜が、着衣の乱れを正す。

 体勢と露出の度合いからして、怜は受け身で、相手の方が積極的だったんだろう。謝られてたし。


「同級生? さっきの子」

 怜の同級生は、年下の高校生ばかりだ。
 昨年度、出席日数不足で卒業できなかった怜は、二度目の高校三年生をやっている。

 何かやむを得ない事情があってのことだろうと思っていたけれど、実は本当に頭が悪いだけなのかもしれない。


「怜って、ほんっとーに、どうしようもない犬だね。気持ち良くしてくれるなら、誰でもいーわけ?」


 蔑んだ目で見下ろすと、哀願するような目で見上げてくる。この顔に、きっと誰もが騙される。


「そんな泣きそうな顔したって駄目だよ。物欲しそうにしか見えないんだから」

 嫌がる素振りで、流される怜の姿は記憶に真新しい。
 飼い主からの猥褻な命令も、カメラマンからのセクハラも、嫌々受けているように見せて、煽っているのは怜だ。


 どうしてこんなにも腹が立つんだろう。

 今度の相手は飼い主でもカメラマンでもなく、何の権限もないクラスメイトで、女だからか。


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