HE IS A PET.
「だって、咲希んちなら心配ないと思って」
なぜか怜の居場所を知っていたアズミンは、私が電話するよりも早くマンションに押しかけて来て、不敵に笑った。
「便利よねー、GPS」
どうやら怜に持たせているスマホから、居場所を割り出したらしい。
休日の朝イチに連絡もせずにやって来るなんて、やっぱり怜のことを心配して、大事に思っているからだと思うのに、あまのじゃくなアズミンはそんな素振りを見せようとしない。
からかうように私たちを見た。
「ほんとは昨日の夜、電話しようと思ったんだけどねー。お楽しみ中のとこ、邪魔しちゃ悪いと思ってぇ」
責めるような辛辣な視線が怜に向けられる。
怜はずっと俯いていて、針のムシロに座らされているみたいだ。
怜を責めるなんてお門違いだ。そもそもの、諸々の原因はアズミンにあるんだから。
「お気遣い、どうも。すごく楽しかったから、しばらく貸して欲しいんだけど」
丁寧に頼む予定だったのに、つい攻撃的に言ってしまった。
怜が血相を変えて私を見る。アズミンも驚いたように目を丸くした。