HE IS A PET.


「咲希さん…………好き」

 耳元で告げられる言葉を、信じられない気持ちで聞いた。

 私の「好き」を怜が取り違えないように、いつだって気を張って伝えていたのに。
 こんな風にされたら、もう好きだなんて言えない。

 そっと唇が重ねられた。

 もう何度目かも分からない怜とのキスなのに、初めての感触だった。
 歯列を割り入ってきた怜の舌が、怯んだ私の舌を絡め取り、吸い付き、口内の粘膜を舐め上げる。

 思わず引けてしまった顎は、怜の左手に支えられるようにして押し上げられる。巧みな大人のキス。

 いつもの子供じみたキスとはまったく別物で、衝撃に打ちのめされる。誘惑に翻弄される。




 怜のセックスは優しかった。

 髪をとかす指も、可愛いと呟く声も、ねとりと柔らかい舌も。全部、私のために存在しているのだと錯覚しそうなほど、丁寧に尽くしてくれた。

 閉じきっていた私をじっくり開いていく行為は、顔を背けたいくらい恥ずかしくて、背ける度に捕らえられては、蕩けるようなキスをされた。


「可愛い」

 呟くように言って、掴んだ私の足首に唇を寄せたかと思うと

「っぁひゃっ」

 何のためらいもなく足の親指を食んだ怜を、思わず蹴りそうになった。


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