HE IS A PET.


「やだっ……足。汚い」

 みっともなく開脚させられた格好で足の指をねぶられて。あまりの羞恥に泣きそうになる。

 セックスの主導権を完全に怜が握っていること自体、予定調和の崩壊だというのに。


「汚くないよ。咲希さんは、綺麗だから……」

 切なく瞳を細めた怜に、ますます泣きそうになった。


 中指を差し挿れて、私の潤滑度を確かめながら、片手でコンドームの袋を手にした怜は、器用に口でそれを開封した。
 何から何まで手慣れた感じに、予期していなかったショックを覚える。

 薄いラテックス膜に包まれた怜の、

「……後悔、しない?」

 つるりとした先端があてがわれた。


「怜は?」

「咲希さんが、しないなら」

 この体勢に至ってもやっぱり怜は受け身で、すがるような瞳で私の答えを求める。


「……じゃあ、しない」

「やめる?」

「じゃなくて。後悔、しないから。して」


 焦らすように慣らすようにあてがわれていた質感が、ぐぐっと中に押し入ってくる。
 その圧迫感に息が詰まりそうになる。

「……力抜いて、咲希さん」

 ふぅと息を漏らしながら腰を押し進め、呼吸を促すように私の唇に舌を這わせる怜に、堪らなくなって、しがみついた。

 その身体があまりにも淫靡で愛しくて。肩にある歯形に歯を当てて、手首にある痣を握り締めた。



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