HE IS A PET.



『可愛い』


 思い出すだけで、目眩がしそうなのに。

 甘く掠れた声で、官能的なキスで、繊細な指遣いで、しなやかな腰遣いで。
 労るような瞳で私を見つめながら、とことん私を追い詰めた。快楽の淵に。

 そこから容赦なく突き落としては、溺死寸前の私を引き揚げる。
 何度も怜に溺れて、何度も怜に救われた。

 堕ちる私をどこまでも慈しんでくれる怜は、優しい悪魔みたいだと思った。


「……カレーばっかり続くと飽きちゃう? ごめん、作りすぎて」

 しゅんとする怜に、慌てて首を振る。
 怜との情事を思い出して惚けていたとは、悟られたくない。


「ううん。三日連続カレーでも大丈夫。朝カレーも好きだし。あっ、でもコロッケも食べたいなあ」


「ほんと? じゃあ朝はこのままカレー食べて、お昼はコロッケ作ろうか」


「怜って、ほんと急にお料理上手になったよね。コロッケまで作れるようになったなんて」


「ううん、まだ作ったことない、コロッケ。今日、初挑戦してみる。上手く出来なかったら、ごめん」


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