HE IS A PET.
輝いたり曇ったり、怜の表情は天候のように不安定に変わる。
だからか。少しでも長く、晴れ間が見たいと願ってしまう。
「大丈夫だよ。私も一緒に作るから」
「ありがとう。咲希さんって、スーパーウーマン」
スーパーウーマンって、何だ? 誉め言葉と受け取っていいのでしょうか。
「コロッケ作れて?」
「うん。仕事バリバリして、家事も料理も、何でも出来て。かっこいい」
それはそのまま、アズミンに贈りたい賛辞だと思った。
仕事も家事も料理も、私以上にバリバリ出来て、かっこいい。
語弊があるとしたら、スーパー『ウーマン』じゃないことだけど。
「あ、そう言えば。咲希さんに……」
言いながらお玉を置き、コンロの火を止めて、怜はキッチンカウンターに腕を伸ばした。
「渡さなきゃと思って。忘れない内に」
差し出された白い封筒を受け取り、封のなされていない中を覗くと紙幣が見えた。
「それで足りる?」
心配そうに怜が尋ねる。
抜き取ってみると、五万円入っていた。