あなたの向日葵になりたい
ぼそっと小さーな声で言ってみた。




「なんか言った?」




この人、地獄耳なの?!




ギロリとこちらを睨みながら聞いて来る限り、絶対に聞こえていたとは思う。




いや、でもこれは不可抗力のはず……。




と反論したくなるけれど、一様こんな人でも相手は先輩なのだから反論は控えた。




「何でもありません」




そして暫くの沈黙。




サッカー部員の集まっている所に連れて来られてまで沈黙。




サッカー部の人達なんか、口を開けてぽかーんとしたまま固まっている。




私は悩んだ末、さっさと腕を掴んでいるこの手を離して帰ることを決断した。




「じゃあ、私かえ」




「あれ?なんで初奈ちゃん、碧斗に腕掴まれてここに居るの?」




あーもう、帰らせてよ!




と思いながら声がした方を見てみる。
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