あなたの向日葵になりたい
ピッピーーー!!
グラウンドに、ホイッスルの試合終了を知らせる音が鳴り響く。
中学生にもなって生で初めてみた、サッカーの試合。
私は、いつの間にか息を呑みその光景に見惚れていた。
それは周りの人も同じだったみたいで、誰一人として観客の人は動かなかった。
そして、その場にいた誰もが、目の前の試合の選手のただ一人。
ーーー伊月 碧利(いつき あおと)。
彼を見ていた。
この辺りに住んでいる学生でその名前を知らない人は居ない、とまで言われている彼。
サッカーが飛び抜けて上手で、頭もよく、それでもって顔もいい。
神様は不公平すぎる、と彼をみて思わずにはいられなかった。
「初奈、帰るよー」
「あ、待って!」
このとき、走りながら思ったんだ。
彼みたいになりたい、って。