嘘から始まる運命の恋
パニックを起こしそうな頭で必死に昨日の記憶をたぐり寄せる。
そのときパッと頭に浮かんだのは、〝ナガオカ・ケイ〟という名前。
そうだ、私のうしろにいるこの男性は、たぶん、十中八九、いや、百パーセント、いやいや、二百パーセント、長岡(ながおか)ケイだ。私の年子の妹、高原(たかはら)真由里(まゆり)の恋人の……。
どうしよう、どうしよう。
なんだってこんなことに。
泣き出したいくらいのパニックの中、必死で考える。でも、考えても答えなんて見つからない。とにかく今はここから出よう。この防音室から……長岡ケイのもとから逃げ出して、そして落ち着いてから何があったのか思い出そう。今後のことはそれからだ。
私は私の胸の前にだらんと落ちているケイの腕をそーっと掴んだ。彼を起こさないよう、細心の注意を払って持ち上げ、静かにゆっくりと彼の腕の中から抜け出した。そして持ち上げたときと同じくらい慎重に、彼の腕をソファに戻す。
誰もいなくなった座面に触れて、彼の指先がピクリと動いた。
やばっ。起きた?
息を殺して見守ったが、彼の手はそれ以上動く気配はない。
そのときパッと頭に浮かんだのは、〝ナガオカ・ケイ〟という名前。
そうだ、私のうしろにいるこの男性は、たぶん、十中八九、いや、百パーセント、いやいや、二百パーセント、長岡(ながおか)ケイだ。私の年子の妹、高原(たかはら)真由里(まゆり)の恋人の……。
どうしよう、どうしよう。
なんだってこんなことに。
泣き出したいくらいのパニックの中、必死で考える。でも、考えても答えなんて見つからない。とにかく今はここから出よう。この防音室から……長岡ケイのもとから逃げ出して、そして落ち着いてから何があったのか思い出そう。今後のことはそれからだ。
私は私の胸の前にだらんと落ちているケイの腕をそーっと掴んだ。彼を起こさないよう、細心の注意を払って持ち上げ、静かにゆっくりと彼の腕の中から抜け出した。そして持ち上げたときと同じくらい慎重に、彼の腕をソファに戻す。
誰もいなくなった座面に触れて、彼の指先がピクリと動いた。
やばっ。起きた?
息を殺して見守ったが、彼の手はそれ以上動く気配はない。