嘘から始まる運命の恋
それはそうだ。フルート一本、クラリネット一本でも、値段はピンからキリまである。
「音楽教室のほかに、防音室があって好きな時間レンタルできるんだよ」
楽器ケースや段ボールの置かれた狭い廊下を、サックスケースを背負ったケイが先に歩いていく。狭いけれど彼の手は離れない。それがうれしい。
音楽室1、音楽室2、音楽室3と書かれたドアが続き、その奥にレンタル防音室1があった。
「今日は特別、無料で」
ケイが笑って、ドアノブにかかっているホワイトボードに〝長岡〟と記入した。
「どのくらいレンタルするつもり?」
誰もいない店内。こっそりと忍び込んで、ふたりだけの演奏会。それを考えるだけで、ワクワクしてくる。
ケイも楽しそうに言う。
「俺はオールナイトで。ここに泊まるから」
「泊まる!?」
目を見張る私に、ケイがあっさり言う。
「そう。ライブの後、家に帰るのが面倒くさいときとか、勝手に泊まってる」
「悪いんだぁ」
「音楽教室のほかに、防音室があって好きな時間レンタルできるんだよ」
楽器ケースや段ボールの置かれた狭い廊下を、サックスケースを背負ったケイが先に歩いていく。狭いけれど彼の手は離れない。それがうれしい。
音楽室1、音楽室2、音楽室3と書かれたドアが続き、その奥にレンタル防音室1があった。
「今日は特別、無料で」
ケイが笑って、ドアノブにかかっているホワイトボードに〝長岡〟と記入した。
「どのくらいレンタルするつもり?」
誰もいない店内。こっそりと忍び込んで、ふたりだけの演奏会。それを考えるだけで、ワクワクしてくる。
ケイも楽しそうに言う。
「俺はオールナイトで。ここに泊まるから」
「泊まる!?」
目を見張る私に、ケイがあっさり言う。
「そう。ライブの後、家に帰るのが面倒くさいときとか、勝手に泊まってる」
「悪いんだぁ」