嘘から始まる運命の恋
 それはステキなライブのせい? お酒のせい? 熱いセッションのせい?

 あんなに表情が豊かで才能にあふれたあなた。きっとほかにも私の知らない顔を持っている。

 ねえ、教えて。私に全部。

 私のねだるようなキスに応えながら、ケイが私のジャケットを脱がせた。ブラウスのボタンをはずされ、キャミソールをたくし上げられて、素肌に彼の手が触れる。唇だけじゃなく、なにもかもが熱い。

「マユ、すごくきれいだ」

 ケイが私にキスを続けながら、片手でワイシャツのボタンをはずしていく。シャツの前をはだけ、重ねられた彼の肌。熱くて全身が蕩けてしまいそう。

「熱くて溶けちゃいそう」

 私のつぶやきに、ケイが小さく笑って、胸に彼の息がかかる。

「もっと蕩けさせてあげる」

 その言葉の直後、ケイが私の胸に顔をうずめた。

「マユ」

 かすれた声で呼ばれた。
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