嘘から始まる運命の恋
 そう考えて首を振る。

 それでは絶対にごまかせない。ケイは真由里と寝たと思ってる。ふたりの関係は――体だけの関係は――これからも続いていくと思っているはずだ。また真由里に連絡してきたら、すぐにバレてしまう。

 私は電車を降り、駅前の通りをトボトボと歩いて、七階建てのマンションのエントランスへと入った。エレベーターで五階に行き、鍵穴にそっとキーを差し込んだ。静かに回してドアを開け、中に入る。玄関に真由里の靴がなくてホッとした。真由里もどこかで外泊しているみたいだ。

 私は自分の部屋に行って、ベッドに倒れ込むと、そのまま目を閉じた。



「お姉ちゃん、お姉ちゃんってば」

 私を呼ぶ声で目が覚め、首をねじって部屋の入口を見た。真由里が両手を腰に当てて私を見ている。

「今何時?」

 私の寝ぼけ声に、真由里が甲高い声で返す。

「もう十時半よ。それよりお姉ちゃん、ちゃんと別れ話、してくれたんだよね?」
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