嘘から始まる運命の恋
「快の話から、キミが快の顔と……その、体目当ての女だって聞いて……今度は本物の恋をしたいのに、キミが別れてくれないって快に相談されたもんだから……。快に頼まれた通り、弟と別れてくれるよう説得するためにキミに会ったんだ。でも、そんなこと、引き受けるべきじゃなかった。謝っても謝りきれない。キミを騙して傷つけたんだから……。自分で別れを切り出さない快よりも、俺の方が罪が重い」

 私が震わせたままの肩を圭の手がそっとなでる。

「今でさえ、マユに触れる資格はないんだってわかってる。でも、お願いだ、マユ。顔をあげてほしい」

 私は片手で口を押さえたまま顔をあげた。私の目が潤んでいるのに気づいて、圭の表情が苦しそうにゆがむ。

「ごめん、マユ。でも、俺は……」

 その深刻そうな顔を見て、とうとうこらえきれなくなり、私はププッと吹き出してしまった。

「マユ?」

 いぶかしげな顔をする圭の前で、私はしゃがんだままお腹を抱えて笑い続ける。

 こんなことってあるだろうか。
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