嘘から始まる運命の恋
エピローグ この恋は
「うわ、あ……」

 私はテレビ画面を、固唾を呑んで見つめる。

 暗い路地を、金髪の美女が、不気味な黒い人影から逃げようと必死の形相で走っている。荒い息づかい、激しい靴音。何度も何度も振り返りながら逃げる女性。その細い首に、ついに斧が振り下ろされる。

「いやー、きゃー、やめてーっ」

 テレビのスピーカーから聞こえてくる英語の悲鳴よりも大きな声で、私は絶叫する。

「殺さないでぇぇ~!」

 真っ赤に染まる画面を見まいと、両手で顔を覆った。

 ソファの隣から圭の失笑が聞こえてくる。

「映画なんだからそんなに怖がらなくても」
「イヤ! 怖い! この映画、怖すぎるっ!」
「そんなに怖いんなら、消してほかのDVDを見よう」

 圭がリモコンに手をかけた気配がして、慌ててその手を掴んだ。

「ダメっ」
「なんで」
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