裏切るは敵か味方かそれとも、貴方か……
「……………………はい、」

山「ひとついいですか?」

山南さんが穏やかな口調で聞いてきた。

『はい、どうぞ。』

山「貴女は、長州の方ですか?」

その場にいた全員が息を呑んだ。

斎藤なんかは少し腰を浮かせいつでも刀を抜けるようにしている。

私は、正直に応えた。

『そうですよ。私は長州に住んでいました。』

そう言うと、斎藤が刀を抜き私に突き立てた。

斎「捕縛しましょう。副長。」

静かにけれどはっきりとそう言った。

土「まて、長州の者だからといって誰でもかれでも捕縛していたらきりがない。
見たところただの農民のようだしな。」

『そうですね。長州の人間だからといって
捕縛されては、たまりません。それに、あの国から出たくてもお金がないから出れない人はたくさんいる。そのへんもちゃんと理解していただきたい。』

私が、そう言うと斎藤は刀をおろした。








その後私には部屋が与えられた。

小さくて3畳半ほどの部屋だ。それに、
ついでに監視もついてきた。

完全に疑いは取れてないということだ。

当分は動かないほうがいいだろう。

尚人様もそれは、理解しているだろうし。

完全に疑いがはれるまではこのままおとなしくしておこう。


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