裏切るは敵か味方かそれとも、貴方か……
ふと目が覚めた。いつの間にか寝ていたようだ。
不思議な夢を見ていたようだ。
私の過去。消し去りたい過去。
あの後3年の記憶がない。どうやって生きていたのだろう。
いや、本当は覚えているのかもしれない。あまりにも最悪すぎて思い出したくないだけだ。
3年後に尚人様と出会い18だった私は、長州藩の間者として向かへいれられた。
弟の世話をしてくれるという条件付きで。
18だった幼い私は、今ではもう25歳だ。
母と父を失ってから、10年だった。
私の幸せはあの日のまま止まっている。
幸せや楽しさを感じることなく10年もたってしまった。
なんて、寂しい人生なのだろうか。
けれどそれでいい。何かを持っているから
失うと苦しいのだ。
だから私は何も望まない。
尚人様への恩義はあるが、忠義はない。
私が守りたいのは、弟だけ。
冬夜を、守るためならなんだってしよう。
そう、なんだって………………。