プリマネ！恋はいつでも真っ向勝負
｢星が丘の部員ってこれだけ？｣


張り合いのないやつばっか、と退屈そうに周りを見渡す裕貴。


｢あと一年生が二人と、エースのみのる、それから......｣

｢と、キャプテン俺。次打つわ。
俺はバッティング練習はいらねぇかんな。
勝負といこうぜ｣


今日帰ったこを指を追って数えていると、ユニフォームに着替えバットとヘルメットを手に持った敦士が戻ってきた。


｢あ？アンタがキャプテンかよ｣


冷めた目で茶髪パーマの敦士を見ると、バッターボックスに入った敦士に裕貴は振りかぶって投げる。ど真ん中に。

気持ちが良いくらいに良い音を立て、敦士はその球を打ち返した。さすがキャプテン。


｢センター越え長打コースじゃね？｣


ヘルメットをとって、無人のセンターの方向に飛んでいったボールを敦士はバットで指す。

無言でボールの飛んでいった方向を見つめていった裕貴は、しばらくするとこちらを振り返り、敦士と視線を合わせた。


｢......分かった、勝負だ。
おい！誰かファールとストライクの判定やってくれ！｣


自分でど真ん中に投げたとはいえ、初球からああも完璧に捉えられていてはね。

負けず嫌いの裕貴なら、当然こうくると思った。
てか、さっき絶対敦士の格好見て、見下してたでしょ。


完全にかやの外、ギャラリーと化したあたしと残りの一年は、黙ってその勝負を見守った。
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