プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
そのボールは敦士のバットに当たる寸前で、ボール一個分カクっと曲がって、一輝くんのミットにおさまった。

やっぱ高速スライダーだったか。

自分で気づいてるのか気づいてないのか分からないけど、ここぞというとき、絶対に負けたくない時のやつの決め球は中学の時から高速スライダーが多い。


「おいっ、お前ストレートしか投げねぇっつったのに、今変化球投げたろ!逃げやがったな」

「俺がいつストレートしか投げないって言ったよ。
今までのやつらは投球練習。勝負となれば、話は別だ。
知ってるか?俺は勝負に負けるのが大嫌いなんだよ」

「知らねぇよ!」


マウンドでグローブを口に当てる裕貴を見て、敦士は苛立ったように地面をけった。


気持ちは分かる、裕貴ってホント生意気だもん。


だけど、あいつが決め球に高速スライダー選んだってことは少なくとも敦士を認めたってこと。

ま、いくら油断してたといっても、初見の相手にああも簡単に外野のポールに運ばれたら認めるしかないでしょうけど。

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