プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「これで全員か。
あ、お前は?打たねぇの?」

「俺も打ってよかと?」


一人憤慨する敦士を無視して裕貴は周りを見渡した後、今までボールを受けていた一輝くんに声をかけると、一輝くんは嬉しそうに立ち上がった。


「もちろん。誰か代わりにキャッチャーやってくれ」


一輝くんが防具を外している間に、裕貴が周りの一年に声をかけるけど、こんな速い球捕ったことないし、とみんな引き気味。

たしかに裕貴の球はけっこうスピードあるけど、誰一人名乗り出ないって、どれだけ情けないのよ。


「......腰抜けばっかりかよ、このチームは。
おい、アンタ捕るくらい出来んだろ、受けてくれ。
そこの茶髪パーマのアンタだよ」

「あ?なんで俺がお前みたいな敬語も使えねぇ礼儀知らずの球受けなきゃならねぇんだよ。お断りだ」


裕貴直々にご指名のあった敦士は、腕組みをして関係ありませんアピール。

他のびびってる一年とは違って、敦士はまた別の意味で裕貴の球を受けたくないでしょうよ。


「格下に敬語は使えねぇよ。
しゃーねぇな、みどり受けろ」

「おいおい、何言ってたんだにっしー弟。
にっしーがやってたのソフトだぞ。
いきなりこんな速い球受けたら危ないっつの。

つか、格下ってなんだ。
さっきからお前ケンカ売ってんのか」

「アンタがビビってキャッチャーやれねぇって言うんだから、仕方ねぇだろ」


マウンドに近づいていって裕貴をにらむ敦士に、どこまでもスカした態度の裕貴。


「ちょっと!こんなことでケンカしないでよ」


今にも殴り合いでも始まりそうな二人の間に、走っていって割り込む。

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