プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
裕貴が振りかぶり、投げた第一球。

一輝くんは初球から果敢にも打っていき、それはセンターの方まで伸びていく。


「キャッチャーいらなかったな」


後ろを振り返る裕貴に、敦士はキャッチャーマスクを外して立ち上がった。

ホームランとまではいかないけど、試合だったら、二塁打は確実。


「......俺の負けだ」

「ストレート一本に狙い絞っとったけん、正直ストレートがきてくれて助かったよ。君の変化球打てる自信ばなかったばい、ナイスピッチング」


あっさりと負けを認めた裕貴のところまで歩いていって、笑顔で握手を求める一輝くんの手はとらず、一輝くんを見つめる裕貴。


「......お前、名前は?」

「小野一輝」

「そうか......、お前が一輝か。

......俺は西川裕貴、よろしく。
甲子園でお前と勝負出来るのが楽しみだよ」


ようやく一輝くんの手をとり、裕貴は笑みを浮かべて握手をかわす。


「おい、俺の名前は聞かねーの?」


ずいぶん敦士の時と態度が違うと思っていたら、張本人がおもろくなさそうに口をはさんだ。


「あ?興味ねーよ」

「......俺の名前は高田敦士だ!覚えとけよ!」


興味ないって言ってんのに......。

敦士が自分の名前を叫んでしばらくしてから、早く帰りなさいと先生が注意しにきたことにより、全員解散となった。
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