プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「さっきのやつ、わざとやってなかった?
格闘技やってるんじゃないんだから、あんな殺人タックル反則でしょ」


キャッチャーがランナーにベースを踏ませないように完全にブロックしてしまったり、逆にランナーがわざとキャッチャーの体にタックルしてきたりするのは、明らかな反則行為。

当然ペナルティものだけど、さっきみたいな際どいタイミングだと、故意かそうでないかなんて、審判も判断が難しい。


ぶっちゃけあたしとしてはルールどうのこうのよりも、一輝くんがケガをする可能性もある危険なプレーをするやつは許せないってわけ。


「わざとかどうかは本人しか分かりませんが、もしわざとだとしても......。

一点勝負で、しかも甲子園がかかっとうけん。
こっちは絶対にホームベースを踏ませたくない、あっちは絶対にホームベースを踏みたい。
少しくらい激しくなるのは、無理もなかよ」


あたしの発言に一輝くんは一瞬なにかを考えるように固まったあと、イライラを隠そうともしないあたしをなだめるかのように笑顔を向ける。


「......そう、一輝くんが良いならいい。
ケガもなかったみたいだし。
にしても一輝くん、あれだけのタックル受けてよくボール落とさなかったね」


許せない、納得できない。
さっきの殺人タックルへのイライラがなくなったわけじゃないけど、本人がいいって言ってるんだし、審判が何も言わなかった以上、今さらごちゃごちゃ言っても仕方ない。


それに、一輝くんの笑顔になんだか毒気を抜かれてしまった。
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