プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
そして......。

敦士もランナーを出しながらも、要所要所を締める気迫のピッチングを見せ、体を張ってホームベースを守った一輝くんをはじめ、他の野手も懸命に守ったことで、得点を許さずにいた。

けれど、それは相手も同じで、延長戦に入ってから、どちらもゼロ更新が続く。


しかし、十四回の裏、ツーアウトツーストライクに追い込んでからの一球。

相手チームの四番でキャプテンにサヨナラホームランを打たれたことにより、ついに拮抗が崩れた。


小さくガッツポーズをしてゆっくりとベースランニングをする向こうのキャプテン、一斉にベンチを飛び出す向こうの選手たち。

そして、マウンドにひざをついた敦士のそばにかけよる一輝くん。


その全てがスローモーションみたいで、遠くの世界の出来事みたいに感じられた。まるで現実じゃないみたいに。


ようやく自分を取り戻したのは、整列も挨拶も全て終わって、みんながベンチに戻ってきたときだった。
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