プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「みんな、おつかれさま」


ダウンも終わり、ユニフォームから制服に着替えて、控え室で帰る準備をしていると、理穂がドアをあけて入ってきた。

理穂に声をかけようと近づいたあたしには目もくれず、理穂はまっすぐに敦士の方に歩いていく。


「今日の敦士くん、すっごくかっこよかったよ。
私、敦士くんのこと見直しちゃった」


......ん?
確かに、今日の敦士はイケてた。
あたしでもそう思ったくらいだから、それはいい。

でも理穂の敦士を見る目が......。
頬を染めて敦士を見上げる理穂に、なんだかイヤな予感がする。


「お?マジ?
ついに俺の魅力に気づいちゃった系?
見てろよ、来年は絶対にミッチーのこと甲子園に連れていくかんな」

「うんっ!敦士くんなら、絶対に連れていってくれるって信じてる。応援してるからね」


デレデレしながら冗談半分のいつもの軽いノリで答えるATSUSHIをうっとりと見つめる理穂の目が、完全にハートになっちゃってる。

ついこの間まで敦士のこと避けてたのに、敦士くん呼びとか。よく考えたら、今日の試合中からそうだったか。


理穂、もしかして......、あたしの気のせいだといいんだけど、気のせいでもないような。


せっかくみのると敦士の距離が近づいたと思った途端、これ?

野球だけじゃなくて、恋の方でも、敦士とみのるの因縁のライバル対決が行われる予感。


一連の会話が聞こえていないのか、控え室の隅の方でノンキに一輝くんと談笑しているみのる。

メンドイことにならないといいけどと、そんなみのるをみて、ひとりため息をついた。


ライバル対決は野球だけで結構よ。




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