プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「たまには制服着るのも、新鮮でいいね。
ザ高校生って感じ。
あたし一輝くんの制服姿初めてみたかも。
今度、制服デートしてみたいなー」


試合で使ったバットやらボールを戻し終わったあとの、二人きりの部室。


いつもと同じ部室なのに、全然雰囲気が違う。
たまにしか着ない制服、誰もいない部室。

試合後ということもあり、やたらテンションの上がったあたしはひとりで話し続けていたけれど、一輝くんは口数少なく、そうですねと浮かない顔。


「一輝くん?どうかしたの?
もしかして、今日の試合のタックルでやっぱりどこか痛めたんじゃ......」

「違います。
ただ、甲子園に行くって約束したのに結局行けなかったことが申し訳なくて......。
せっかく先輩が応援してくれたのに、ごめんなさい」


ソッコーでケガを否定した、やっぱり浮かない顔の一輝くんに、あたしはブンブンと首を横にふる。


「やだな、あやまんないでよ。
一輝くんは一生懸命やったじゃん。
去年までは野球部自体なかったのに、決勝戦まで行けたんだよ?すごいことだよ。

それに、今年はダメだったけどまだ来年もあるし、一輝くんには再来年だってあるでしょ?

だからそんな顔しないでよ」


あやまる必要なんかどこにもない。

どうにか一輝くんに元気を出してほしくて、そういえば、ようやく一輝くんは笑顔を取り戻した。





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