プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「あたしのこと信じてないのは一輝くんの方でしょ!?
あたしの気持ち無視して、勝手に変な約束しないで!
あたしは勝負に勝った方を好きになるわけじゃないの!」


大きな声を出せば、ますます注目を浴びてしまった。
もう、だから、言いたくなかったのに。


今までも秀のことで、何度も元カレとケンカになった。
秀との関係を勘ぐられたり、嫉妬されたり。

あたしにとって秀は、家族同然の幼なじみで、それ以上でもそれ以下でもないのに。


「......ごめんなさい。
ただ、加藤さんの方がみどり先輩を分かってるみたいで悔しくて。相手が銀月館でも、絶対に負けたくなかったんです。

だけど、先輩の気持ち無視してたのは、俺の方だったみたいです」


今まではそれを理解してくれないなら別れたらいいって思ってたし、幼なじみの秀の方が当時の彼氏よりも大事だった。

だけど、一輝くんだけは違うから。
こんなことで壊したくないから、だから隠した。


思いのたけをぶつければ、素直に謝ってくれた一輝くんがますます愛しい。


「ううん、分かってくれたならいい。
あたしも変に隠したりして、嫌な気持ちにさせてごめんね。

勝負したいならしてもいいけど、賭けの対象は違うことにして。

勝負に勝っても負けても、あたしが好きなのは、一輝くんだけ。一輝くんしか好きじゃない。

それだけは、間違えないで」


まっすぐに一輝くんを見つめて、まじめにそう言えば、一輝くんも真剣な表情でうなずいた。
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