プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「おはよー、一輝くん」


翌日、夏休みだけど通勤の時間帯のせいか混んでいる電車に乗り込んできた一輝くんに声をかける。


「今日も部活でいくとこ一緒なんだから、昨日泊まっていけばよかったのに」

「さすがにそれは......。
挨拶もまだなのに、お父さんたちが留守の間に勝手に泊まれないですよ」


会って早々、そんなことを言うあたしに、一輝くんは困ったように返事をした。

誰もいないから泊まっていけばって言ったのに、結局昨日帰っちゃったんだよね。


「やることはやったのにね」

「.......」


そう指摘すると、視線を泳がす一輝くんに、えへと腕を絡ませた。


「一輝くんってー、意外と積極的だよね?
あたし、もっと奥手だと思った」

「......がっかりしたと?」

「まさか。あたしから攻めていかなきゃいけないと思ってたから、嬉しい。あたしってこう見えて、男にリードしてもらいたいタイプだから。
でも昨日一輝くんが何も手出してくれなかったら、もう待てなくて、あたしからおそってたかも」


ご機嫌にベッタリと一輝くんにひっつけば、やっぱり一輝くんは視線をさまよわせてなんだか挙動不審。
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