プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
俺もです、とキスのお返しをされてから、一輝くんはあたしと目を合わせると、なぜか目尻を下げてふふっと笑った。


「先輩でも緊張したりするんですね」

「どういう意味よ。
あたしだって緊張くらいするけど?
だって、彼氏の親に会うのとか、初めてだし......。

それに、一輝くんのお母さんと二人きりになったら気まずくてさ、あたし嫌われてんのかってあせったよ」


いきなりこんなギャルい女が、息子の彼女ですって言われて、やっぱ引いちゃってんのかな、とかあたしとしては色々心配しちゃったわけ。

そんなことをブツブツ言っていると、一輝くんはまたにっこり笑ってから背中に手を回し、胸の中にあたしを引き寄せる。


「そがんこと心配しとったと?
心配する必要なかよ、お母さんはいつもあんな感じなんです。

試合見たいけど他のお母さんたちと上手く話せるか心配~って、俺の試合も今まで一回も見に来たことなかけんね。授業参観はかろうじてきてくれるんですけどね」

「ええっ!?そんなに?
なんか、大丈夫?色々」


みのるの親とは別の理由で息子の試合を見れない親がここにもイタ。どうりで一輝くんのお母さんを今まで見たことないわけだ。


あまりの衝撃に、ぺったりとくっついていた一輝くんの胸の上から起き上がる。

なんでもないことのように話してるけど、人と話すのが苦手ってそこまでのレベルとは思わなくて素で驚いてしまった。



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