プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「どこがって、全部。
あたしには一輝くんしかいないし、一輝くんだってきっとそう思ってくれてる。
一輝くんは、親にも会わせてくれたんだよ」

「そう、それなら俺も同じだ。
みどりは俺の母さんも父さんも、妹も知ってる。
俺だって、みどりのお父さんもお母さんも、弟も知ってるよ。一輝くんよりずっと、ね」


あたしが正攻法で直球で攻めていっても、このずるがしこいキャッチャーは、どんな攻撃もさらっと受け流して反撃してくる。ほんとに、ムカつく男だ。

昔から、ずっと。


「それは幼なじみだから。
そんなので同じになるわけないから。

アンタは幼なじみ、一輝くんは恋人。
全然違うの、分かるでしょ?」

「なにが違うの?」


こどものように反復質問ばかり繰り返してくる秀に、いい加減嫌気が差す。

今まで秀のこと、つかめないやつずる賢いやつだと思ってたけど、もしかしたらこいつただのバカなのかも。


「なにがって......、もうアンタいい加減に......。
そだ、秀だって、今までの彼女と幼なじみのあたしとじゃ、違ったでしょ」


玄関前での同じようなやり取りにも疲れてきた。
中からはいい匂いがしてきたし、そろそろ晩ごはんだと思うし。

はいはいじゃあね、と話を終わらせるようにそう言ったのに。
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