プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
ふーん、とつまんなさそうにつぶやく秀にようやく納得したかと思えば、次の瞬間にはやつはにっこりと笑う。

どうしようもない嫌な予感。


きっと他の人がみたら、さわやかな笑顔なのかもしれないけど、幼なじみのあたしには隠しきれてない。

その笑顔からにじみ出るブラックさ。


あの!銀月館の!野球部員で、今年の甲子園でキャッチャーやってた加藤秀徳は、実はこんなネチネチと人をつついてくるようなイヤミなやつなんですよ、とみんなに言いふらしてやりたい。


「好きの定義は何?」

「はぁ!?好きの、定義?
もう、いい加減にして!
ネットで調べたら?

もう帰る、アンタと話してると頭おかしくなるわ。
甲子園おつかれさまでした」


ついには、好きの定義ときた。
これには辛抱強く付き合ってきたあたしも、いい加減我慢の限界。

ガッと乱暴に玄関のドアを開けて、これまた乱暴に閉める。


「おつかれ~。
さっきの、次に会うときまでの宿題ね。
考えといて」

「もう二度と会わない!
すくなくとも、アンタは好きじゃない!」


玄関の外から聞こえてきた秀の楽しそうな声に、ドアにもたれかかりながらも、イライラとどなるように言葉を返す。


「俺は好きだよ」


こっちがムカついてのに、平然とこう返してくるから、よけいイラッとする。

もう、ほんとムカつく。
意味わかんない。




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