プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
あっ!裕貴のグチグチ言う声で、大事なとこ聞き逃がしたよ。

もういいや、見る気なくした。


話の内容が分からなくなり、すっかりドラマを見る気をなくしたあたしは、裕貴の方を向き直り、反撃、もとい反論開始。


「アンタいつまでこどもの頃のこと根にもってんの?
過去は過去。今度という今度は、あたしは本気よ。

野球部の子に、甲子園でアンタんとこの銀月館倒そうぜって誘われたの。サイコーにワクワクするシチュエーションだと思わない?」


銀月館と星ヶ丘は、そこまで離れた場所にはないけれど、ギリギリのラインで違う県、違うブロック。

甲子園に行ける高校はひとつのブロックにつき、一校まで。

つまり違うブロックのうちが銀月館と戦うためには、なにがなんでも甲子園に行かなきゃいけない。


倒そうぜとまでは言ってないけど、大げさにそう言ってみせると、裕貴ははしを置いて憎たらしい顔をあたしに向けてきた。


「ああ?そいつ頭いっちゃってんだろ。
ウチに勝とうなんてムリムリ。現実みろよ。
そもそも、そんな無名校が甲子園行けるわけねー」


だろ、と言いかけたとこで、またあたしは裕貴の頭をバシッとはたいた。本日二回目。
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