プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「あぶれたみたいなので、誰か空くまで待ちです」

「そっか。今日一人休みだったよね」


うちの野球部の選手は10人。
普段ならちょうど二人一組で誰かが余ることはないけど、今日は一年生が一人休み。

高田っちも夏休みあけてからは、学校との兼ね合いで毎日はこれないみたいだし......。

素振りでもしてようかな、と金子くんはバットケースから、金属バットを引っ張り出す。


「じゃ、あたしトスあげよっか?」

「え?あ、でも......。
一輝は......」


部室の床をはいていたほうきをすみに置いて、トスバッティング用のボールを取り出すけれど。

なにやら金子くんは戸惑っている様子。
なんでここで一輝くんが出てくるのか。


「一輝くんはみのると投球練習してるみたいだけど?
どうかしたの?」

「あ、いや、その、一輝に悪いなーって......」


視線をさまよわせながらオドオドした様子の金子くんに、だから今まで一年に仕事を頼まれなかったわけね、と一人納得。

年上なうえに、あたしが一輝くんと付き合ってたりするもんだから。気をつかわれてたんだ。


「え?なんでよ?
あたし一輝くんの専属マネージャーってわけじゃないんだよ?
部員にトスあげたくらいで、一輝くんはいちいち何か言ってこないと思う。てか、それくらいで文句言われても困るし」

「はぁ......」


やっぱりオドオドしている金子くん。

んー......、もしかしてあたしこわがられてる?
一輝くんと付き合ってることだけでなく、あたしのこのはっきり言い過ぎる性格も原因なのかも。

これは、あんまりよろしくない傾向。


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