プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
じっと倉庫の床を見つめていたかと思えば、深くため息をついてから、みのるは顔を上げた。


「じゃあせめて、一輝にだけでも今回のことを話そう」

「一輝くんに?なんで?
何もなかったのに、わざわざ心配かけるような必要ないでしょ。一輝くんには今は目の前の大会に専念してほしいの、動揺させたくない」


大会前じゃなかったら。
もしもあのとき成り行きで知られてたのが、みのるじゃなくて一輝くんだったら。

そしたら、あたしだって迷いなく一輝くんに話してたけど、今は言えない。


「ってごめん、みのるも大会前なのにね。
結局みのるまで巻き込んだあたしが言えることじゃないね。

......ごめん、もう授業戻っていいよ」


大会に集中しなきゃいけないのは、してほしいのは、一輝くんだけでなく、他のみんなだって、みのるだって一緒。

結局流れでみのるに頼ってしまったことを申し訳なく思い、困ったような顔をしているみのるをドアの方へと押した。


「いや、それはいいよ。
頼ってくれて嬉しかったし。

今は大会前の大事な時期ってことは分かってる。
......だけど、みんなには悪いけど、僕はにっしーを優先させるから」

「......みのる」


そりゃ、人としては野球より友達を守る方を優先させる方が正しいのかもしれないけど。

きっぱりと言い切られて、こっちの方が戸惑ってしまう。


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