プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「どうって......?」


言われている意味が分からず聞き返すと、みのるは厳しい、だけどあくまでも冷静な視線であたしを見据える。


「一輝と付き合ってた時のにっしーは、無敵だった。

敵が多くても性格がキツくても、それ以上の魅力があった。いつもキレイで強くて、誰にも負けたりしなくて......、みんなの憧れだった。

だけど、今のにっしーにはそれがない。
それどころか、自分さえも見失ってる。


今のにっしーとは、付き合いたいと思わない」


浅はかなあたしを見透かすかのようなみのるの視線に、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしい。

みのるはテーブルの上を片付けると、冷静に話せる状態じゃないみたいだから今日は帰るねとファミレスを出ていった。





......今のは、効いた。


自分さえも見失ってる。
今のにっしーとは、付き合いたいと思わない。

みのるの言葉が頭から離れないのは、それが的を得ているから。図星だから。

みのるに言われるまで、自分でそれに気づかないところがイタイ。イタすぎる。


ほんとだよ、一輝くんにフラれたからって、安易にみのるの方にいくって、それはどうなのよ。

一輝くんに対してもみのるに対しても、失礼すぎる。


あまりの自分の情けなさに、ガヤガヤとしたファミレスのまわりの声がどんどん遠くなっていって、なんだか気が遠くなる。

世界が、色を失ったみたいに。


< 386 / 623 >

この作品をシェア

pagetop