プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
駅の改札前についたところで、電車の時間をチェックすると今行ったばかりで、待ち時間があと十分以上ある。

十五分に一本のローカル電車、行きは星が丘の生徒で混んでるけど、帰りは部活で時間がずれるから、ガラガラで座れるのがいいところ。

さっさとホームに入ろうと思ったけど、ふと思い直し、改札口のとこで森村と向き合う。


「ていうか、アンタ何が目的なのよ?
一年前に何があったか知らないわけじゃないでしょ。
まともな男だったらあたしを相手にしないし、言い寄ってくるのは面白がってる男か、頭のおかしい男だけ。
アンタはどっち?」


さすがに何ヵ月も同じ話題で盛り上がってはいないにしろ、例の部内で二股浮気疑惑の噂が消えたわけじゃない。

特に同じ野球部の森村だったら、誰かしらから聞いてるんだと思う。

野球部の部員もみんなあたしとフツーにしゃべってはくれるけど、あんなことがあっただけにあたしを本気で口説こうなんて勇気のある男、もといバカはいない。
こいつ以外は。


「何があったかは知ってます。
本当かどうかは知らないけど......

みどり先輩はそうやって何でもないことみたいに振る舞うけど、本当は傷ついてる。一人でも平気そうに見えるのに、強そうに見えるのに、本当はもろいみどり先輩がほっとけない」


いつもの能天気バカと同一人物とは思えないような真剣な目に、思わず一歩後ずさった。

合コンにきてた時は雰囲気イケメン風の今時だった髪型も、入部してからはボウズになったせいか、マジメな顔すると、こんなんでもマジメな男に見えるから不思議。

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