プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「好きじゃなくなったなんて、一言も言ってない!俺だってまだ好きだったし、やり直したかった!」

「え......?」


怒ったような、せっぱつまったような声で叫ぶ一輝くんに間抜けな声が出てしまった。


......そういえば。
たしかに、好きじゃなくなったとも、別れたいとも言われてない。

だけど、もういまさらだ。
いまさらやり直せるわけじゃないし、もうあたしは一輝くんを愛してない。一輝くんだって、きっと。


そのとき、カンカンカンと踏切の音がして、あたしたちがいつも乗っている電車が速度を落として近づいてくるのが見えた。


「とりま、終わったこといまさら言っても仕方なくない?
あたしが言いたいのは、もうあたしたちカレカノじゃないんだし、もう少し友達としての距離を考えた方がいいと思うってこと。

あんまり親しくしてると、周りにも誤解されるし、お互いのために良くないと思う。ほら一輝くんもあたしも次に進めないし、」


わざと明るく話していると、話の途中で一輝くんは大げさにため息をついた。


「好きだって言ってきたかと思えば、友達になろうって言う。友達になったらなったで、今度は距離を考えろって、もう分からないです。勝手過ぎる。
友達として好きになれない」

「......そうだね、あたしたち合わないね。
じゃあ、もう友達やめよう!」


友達やめよう宣言をしたあたしたちは、きたばかりの電車の別々の車両に乗り込んだ。

まるであたしたちの関係みたいに、バラバラに。

やっぱり元カレと友達になるのって難しい。


もういいや、中途半端に友達でいるより、かえってすっきりした。
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