プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
翌日。

体育の授業が終わり、三年から同じクラスになった理穂とグラウンドから校舎に入ると、今から体育なのか体操服すがたの一輝くんと入れ替わりになった。


「こんにちは」


一輝くんは理穂と笑顔で挨拶をかわすと、隣にいるあたしにも目を向けたけど、お互いガン無視ですれ違った。


「あれ?いま一輝くんいたよ?」


一輝くんとその他二年男子何人かが通りすぎたあとに、理穂はあたしが一輝くんに気づいてないとでも思ったのか、不思議そうな顔で、あたしの腕に触れる。


「うん、知ってるよ。
わざと無視したから」

「ええ!?なんで?
ケンカでもしたの?」


何でもないことのようにそう言ったあたしに、理穂は驚いてる様子。


「そうじゃないけど、友達やめたの。
やっぱり元カレと友達になるのはムリ」

「敦士くんは?」

「あれは元カレっていうか、別枠?」

「......。
なんでいきなり友達やめることになったの?」


淡々と友達をやめたことを伝えると、納得できないような顔をしている理穂。

当事者のあたしよりも理穂の方があたしたちの関係を気にしてるよね。


「一輝くんに友達として好きになれないって言われたんだよね。よく考えたらあたしもだわ。

あたしたちの間に友達なんて生温い選択肢は存在しない。愛し合って恋人として生きていくか、他人として生きていくか、ふたつにひとつしかない」


あのときは友達でいたいと思ったけど、よく考えたら一輝くんのことを友達だと思ったことなんて一度もなかった。

初めて会った時からもう好きだったし、その後すぐに告白して、夏の大会が終わってから付き合って。

友達だった期間なんて少しもないのに、別れてからいきなり友達になろうなんてムリな話。


「部活の時は普通にするから大丈夫。
部活以外の時のあたしと一輝くんは、何の関係もない他人だってこと」


心配そうな顔をしている理穂にそう言うと、そういうことを言ってるんじゃないけど......とやっぱり不満そうにつぶやく。

それは聞こえなかったふりをして、教室まで帰った。




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