プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「今じゃないとダメだから、そう決めたんだ。

正直言うと、せっかく強豪校で結果残してきて、また一から新しくスタートするのももったいないんじゃないかと迷った。

だけど俺も、みどりたちに感化されたかな。
道はひとつしかないわけじゃないからね、挑戦してみたくなったよ」


しっかりとした口調で、秋の大会の時あたしが言っていたことを反復した秀。

決意がかたいことだけは伝わってきたけど、そこまでして今行かなきゃいけない理由が分からない。

あたしがそれを聞く前に察したのか、秀は言葉を続けた。


「俺の尊敬してるメジャーリーガーがここ数年のうちに引退するらしいんだ。

一度どこかの球団に所属したら何年かは自分の意思だけでメジャーに行きたいって言っても、すぐにはできない可能性もあるし、自由に動ける今アメリカに行かないと間に合わない。

憧れの選手が現役のうちに同じ国でプレーしたいんだよ。
たとえ正捕手じゃなくても、ブルペンキャッチャーでもいい。あの人と同じグラウンドに立てる可能性があるなら、それにかけてみたい」


甲子園春夏連覇と、メジャー挑戦とどっちが難しいかな。

メジャー挑戦を語る秀は失敗する可能性は全く考えてないみたいで、その瞳は揺らがない。


「ふーん......、そうなんだ。
寂しくなるけど、秀がそう決めたなら応援するよ。
秀ならアメリカでも絶対成功するだろうし!」
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