プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「一輝くん......」


何、考えてるの?
もしかして......。

近くなっていく距離にも、一切抵抗を示さずに身を任せていると、一輝くんはあたしを一度しっかりと抱きしめてから、体を離し、穏やかな笑顔を見せた。


「敵対してても、辛いときはいつだって友だちだ」


友だち......。

そのワードを聞いた瞬間、甘い空気にのぼせていた頭がすっと冷静になっていくのが自分でも分かった。

まるで恋人みたいな距離に一瞬勘違いしそうになっちゃったけど、そうだね、そうだった。


「......ともだちじゃない。

一輝くんは甘い、甘すぎるよ。
戦争中に敵に弱味を見せたらダメ、優しくしたらダメなの。油断してたら、後ろからぶっすりいかれる」


甘すぎるのは一輝くんじゃなくて、あたしだ。
あたしとしたことが、敵に優しくするなんて。

一度敵対すると決めたなら、もっと冷酷にならないと。


自分に言い聞かせるように早口でそれだけ言うと、急いで体育教官室を飛び出した。


なんか分かんないけど、悔しくて仕方ない。
友だちと言われたことに、異様に腹が立つ。

こんな状況なのに、ここ最近のあたしは一輝くんに嫌がらせばっかりしてるのに、まだ友だちとか言い出す一輝くんの甘さがどうしようもなくムカつく。


友だちじゃない、絶対に友だちなんかじゃない!



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