プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
中断されたことにガッカリした様子をみせながらも、一輝くんは机の上の置き時計に目をやった。


「ランニング行ってくるって出てきたけん、そろそろ帰らないと」


そんなことを言いつつも、こんな時間だっていうのにそれほど焦ってはいない様子。


裕貴と一緒の言い訳.......。

ていうか、この時間にランニングって言って通用するの?


一輝くんの家がそれでいいにしても、うちのパパはいつ帰ってくるのか分からない。

それに大会前なのにこんな時間、明日も早いのにさすがにもう引き止められないよね。

とまあ、頭の中では早く帰さなきゃいけないと分かっていたんだけど。


「離れたくないな.......」


朝起きて夢だったらどうしようとか、一日経って冷静になったらやっぱり気の迷いだったって言われたらどうしようとか。

ふとそんなことが頭をよぎると、これまたキャラじゃないけど、不安感におそわれて。

そしたら、ついうっかり本心が口から出てしまった。


「え......?」


ほら、あたしが変なこと言い出すから、一輝くんも困ってる。


「なんでもない!
明日も学校あるし、朝練もあるし、早く帰んないと。
大会近いのに、夜更かししてる場合じゃない。
さあ早く!」


今さら手遅れのような気もするけど、これ以上遅い時間までひき止めて、明日に影響させちゃいけない。

ついうっかり出てしまった本心を隠すように、布団で体を隠したまま、早口で一輝くんをせかす。

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