プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「まあ俺の友達っていうのも嘘じゃねぇけど、どっちかっつーと、」


途中まで言って、続きを視線だけであたしに促してきた裕貴に、もうこうなったら誤魔化せないと覚悟を決めて口を開く。


「あたしの彼氏、かなぁ?」


かなぁ、どころか、はっきりとあたしの彼氏なんだけど。

それでも視線を泳がせ、そう答えたあたしに、さっきから全く表情を変えないパパは、今度は一輝くんの方を見た。


「もう一回名前聞いてもいい?」

「はいっ!小野一輝です!」


誰が聞いても聞き間違えようがないくらいに、はっきりとした発音で、しっかりと自分の名前を言った一輝くん。


一輝くんはただ自分の名前を言っただけ、それだけなのに。

一輝くんの名前を聞いたとたんに、今まで冷静だったパパは、足の力が抜けたみたいに、突然前のめりに倒れこんだ。


「パパっ!?ちょっと、どうしたの!?
しっかりしてっ!」


今倒れる要素あった?

ひとまずは声をかけてはみたけれど、いきなり倒れたことに心配ってよりも、意味が分からずに呆然としてしまう。


「お前がこんな時間に男連れ込んでるから、父さんもショックで気絶したんじゃねぇの?
ショック死したらどうすんだよ」

「あたしのせいなの?
一輝くんが......っていうか、もともとアンタが連れてきたんじゃないの?」


って、こんなことを言い合ってる場合じゃなかった。

あたしたちがやりあってる間にも、しっかりしてくださいおとうさん!と一輝くんがパパを介抱、というかよけいダメージを与えている。
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