プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「それにしても、やっぱ一輝はすげぇやつだよな。
フツーじゃねぇ。さすがこのイカれ女と付き合えるだけある」

「どういう意味よ?」


ちょっと人が下手に出れば、すぐこれだ。
いきなり失礼なことを言ってきた弟にイラっとして、やつをにらむ。


「この状況で彼女の父親にもひるまねぇってのが、マジすげぇ。フツーちょっとはビビるよな」


あきれてるような、感心してるような、どっちともとれるような、とれないような言い方。

もしかしたらどっちの意味も含んでるのかもしれない。


あたしに言われたくないだろうけど、どっちにしろ、ちょっと変わってんだよね一輝くんって。

無名公立校から甲子園目指すって言い出すだけあって、肝がすわってるっていうか、時々考えなしに行動するっていうか。


「まあね。あたしも一輝くんのお母さんに初めて会ったとき、超緊張した。てか、やらかしたし。
でもさー、アンタは幼なじみと付き合ってんだから、もう今さらでしょ」


不思議そうな顔をしていた一輝くんに代わってあたしが答えて、裕貴に話題を振った。

かねてからの甲子園でエースナンバーをつけるという目標を春に達成した裕貴は、春から幼なじみのみこと付き合っている。

あたしもよく知っている幼なじみの片割れのみことは、家族ぐるみの付き合いだし、今さら親に緊張もなにもないと思うんだけど。



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