プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「だしに使ってたのが、逆転したってこと?」


そう聞くと、早川さんはキレイに巻かれた内巻きボブの頭で少しだけ首をかしげる。


「んー逆転したっていうか......
三樹くんでも、いいかなって」

「三樹くん、でも?」

「だって、これ勝ったら甲子園行けるんですよね?
一輝よりかは落ちるけど、三樹くんも今年はレギュラーになったみたいですし。甲子園出場経験もあるし、勉強もできる。将来有望だから付き合っといて損はないですよね。
他にもっと良いのが現れたら、そっちに乗り換えればいいし」


そんなことを言いながらも、早川さんは女子力の高い笑みを壊すことなく、三樹くんを見つめ続ける。


......なんていうか、たくましいよね。

悪口も言われてたし、お世辞にも性格が良いとは言えないけど、あたしこの子のことそんな嫌いじゃないわ。


彼女を恥ずかしそうに、だけど照れながらも視線をそらさない三樹くんの様子から、見てるだけでこっちにも彼女のことが大好きなのが伝わってくる。

実はこっちでは、一輝くんよりは落ちるとか言われてる三樹くんかわいそう。


「まあね。
今時報われない片思いなんて流行んないしね。

でもさっき、一輝くんよりは......って言ったけど、そうでもないと思うよ。三樹くんは三樹くんで良いところがあるんじゃない?

三樹くんああ見えてすごく努力家みたいだし。
去年はヒット全然打てなかったのに、今年は見違えるようになった」


あたしにとっては一輝くんが一番だし、内巻きがどんな理由で三樹くんと付き合っててもどうでもいいんだけど、三樹くんは一応部活の仲間。

と思ってフォローしてみたけど、早川さんは思っていたのとは違う反応をした。


「知ってます。
それに、すごく優しいんですよ。
私は先輩よりも三樹くんの良いところいっぱい知ってますから」


ん?

相変わらず言い方はトゲトゲしいけど、今までの女子力の高い微笑みとは違う表情を初めて見せた早川さん。

計算された女子力とは違う、素の顔みたいな優しい表情で三樹くんを見つめる。
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