プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
うちのチームは、強かった。


秋も星が丘は地区優勝を果たしているし、そもそもうちの地区のブロックは毎回甲子園一回戦負けしかもワンサイドゲームにされるくらいで、もともとレベルが高くない。

そんな前提はあっても、試合の流れによっては勝ち負けが分からないのが野球のこわいところ。


だけど、そんな心配をする必要もないくらいに、うちのチームは強かった。


回も浅いうちから、星が丘有利の展開が続き、あっという間に最終回。

9回裏6ー0、この回の相手の攻撃を抑えれば、その瞬間星が丘の勝利が決まる。


しかしこの回、外野前ヒットで先頭バッターを出し、犠牲バントで二塁に進塁。

その次のバッターを三振に打ち取ったものの、フォアーボールを出してしまって、ツーアウト一、二塁。

ランナーを二人置いた状態で、ツーストライクに追い込んだけど、そこからボール連発。

セットポジションから投げるみのるの球はこの回どうもコントロールが定まらない。


「ボール」


スリーボールになったことを示す球審の声が冷たく響くと、スタンドの応援席からは、どこからかため息が漏れる。

攻撃の時はブラバンの演奏や、部員の応援もあってにぎやかだけど、守備の時はそれがないぶん、やけにはっきりとため息が聞こえてきてなんだか嫌なムード。


あとアウトひとつ、あとストライクひとつなのに、なかなかストライクが入らない。
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