プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「それもそうですね。
そもそも二回戦行くためには、今日勝たなきゃいけないですよね。今日の相手は勝てそうなんですか?」

「そんなの、分かんないよ。
試合始まる前から分かるわけない」


そりゃ銀月館対そこらへんの高校とかだったら、圧倒的に銀月館が勝つ確率が高いとは言える。

それだって可能性の話で、銀月館が負ける可能性だってゼロじゃない。

そもそもうちが勝ったって、もしかしたら銀月館がいきなり初戦負けする可能性だってゼロじゃないし。


八百長でもやってない限り、誰だって試合が始まる前から結果なんて分かるわけない。


試合開始時刻が近くなって、しだいに人が増えてきた応援席。

一年生を中心としたうちの野球部の部員も、応援の最終確認や声だしなんかをしているのをみると、試合が一刻一刻と近づいてきていることを感じる。


試合前の独特な状況に、なんだかあたしまでピリピリしてきた。

下は......、ベンチは、一輝くんたちはどんな様子かな。


ああもうっ、やっぱり銀月館と当たる二回戦じゃなくて、初戦の今日ベンチに入れば良かったかも。


こんなときなのに、一番近くにいられない自分にイライラする。


「えー、そうですけどぉ。
弱そうなとこだったらいいなと思って」


今日の対戦校は北海道の代表。

あんまり聞いたことはないとこだけど、相手だって甲子園まで来てるんだから弱そうってことはないと思う。
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