プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
部屋を出て向かった先は、宿舎から少し離れたところにある公園。

公園に足を踏み入れると、メールを送ってきたやつは、すでにそこにいた。


「みどり。きてくれたんだ」


こんな時間にラフな格好でバットを振っていた秀は、あたしがそばにいくとすぐに気づき、素振りをやめて、こちらを見る。


「......うん。

アンタ、こんなとこで素振りって......。
堂々としすぎでしょ。一応顔知られてんだからさ」


高校野球ファンならもちろん秀のことは知ってるだろうし、芸能人ではないけど知ってる人は知ってると思う。

それなりに知名度があるというのに、秀はそんなことは全く気にしてないかのように、堂々と試合前の夜に外出したあげく、素振りまでしている。

もうちょっとこそこそしようよ。


「こそこそしてるから見つかるんだよ。
堂々としてたら、意外とバレないもんだよ」


公園のほんのりとした照明のなかでも、やつがいつものように飄々とした表情を浮かべていることが分かる。

ていうか、見なくても分かる。


もういまさらだけど、すごい性格してるよね、ほんと。

まあこんくらい肝がすわってなきゃ、銀月館のキャッチャーはつとまらないか。









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