プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「だったら、」


その言葉の続きは、聞かなくても分かる。

あたしの話に口をはさもうとしてきた秀が続きを言う前に、首を横に振ってそれを遮った。


「一緒にはいけないの。
秀のことは大切だけど、秀には恋してない。
別の人に恋してる」


静かに、だけどはっきりと告げたその言葉に、秀は一瞬何かを考えるようにうつむいてから、すぐに顔をあげる。


「......一輝くん?
俺と一輝くんと、どう違うの?」

「全然違うよ、違ってた。

秀とは何があっても離れない絆があるし、信頼もある。
どれだけ距離があっても、しばらく会わなくても、心は繋がってる。

一輝くんとはそれがない。
あると信じてたけど、なかった」


初対面から恋をして、初めて本気で好きになって、あたしと一輝くんは絶対に離れない強い絆で結ばれてると思ってたけど、違った。幻想だった。

あたしの答えが想像していたものと違ったのか、不思議そうな顔で話を聞いている秀に、さらに話を続けた。


「あたしと一輝くんは、少しのことで簡単にぐらついて、ちょっと距離ができたら、壊れるもろい関係だった。

でも......、それでも、一輝くんはあたしの全てなの。

ちょっとした距離で壊れてしまうなら、もう二度と一輝くんから離れない。他の何を犠牲にしても、どこにでもついていく」


今時、恋のために全てを犠牲にするなんて流行んないし、男とそれ以外のことを両立させて当たり前の時代。

自分が穏やかでいれて、理解があって、信じあって支え合える、世間ではそんな相手が理想なのかもしれない。

それを運命というのなら、きっと、あたしと一輝くんは運命じゃない。


だけど、運命でも、そうじゃなくても。

この愛には、抗えない。
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