プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「それが、あたしの好きの定義ってことで、いい?」


今までの男とどう違うのか、秀と一輝くんがどう違うのか、あたしの中でははっきりと違うのに、今までは上手く答えられなかった。

今回だって上手く伝えられた自信はないけど、秀は何か反論をしようとはせず、ただ一言だけ、そうとつぶやいた。

表情は、やっぱり特に変わることもなく、いつものまま。


「本当は、ずっと前から......、一輝くんには勝てないって分かってた」

「え?」

「秋の大会で、一輝くんのことを話すみどりを見た時、そう思ったし、その時から一輝くんのことを認めてたよ」

「......え?」


秋の大会の時、あたし秀に何話したっけ。

いまいち何を話していたのか覚えてなくて、間抜けな返事を繰り返すあたしに、秀は突然ふっと笑った。


「それでも、別れたって聞いて、もしかしたらって思ってたんだけどな。やっぱりダメだったか」


そこまで言った後で、秀はバットを持ち直してから、あたしにくるりと背を向けた。


「俺はそろそろ帰るよ。
みどりにもフラれたことだし、今日アドレス渡されたファンの子に電話する」

「アンタまたそんなこと言って、明日試合なのにほどほどにしときなよ。もう相変わらずなんだから。
やっぱりあたしと結婚したいって、本気で言ってなかったでしょ」


さっきのいまで冗談めかしてそんなことを言う秀が、また分からなくなって、思わずため息をつく。


「そんなことないよ、人生で一番ロマンチックな計画が失敗して、これでもけっこう凹んでる」

「......ひで、あの、」


口調こそいつものように柔らかいものだったけど、そんなことを言う秀になんて言葉をかけたらいいのか分からなかった。

冗談は言うけど、こいつが凹んでるっていうときは本当に凹んでる時だから。そこは嘘をつくやつじゃない。

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